前田勝之

ある方の開示請求によって、武雄市図書館・歴史資料館の改修にあたって廃棄された蔵書・視聴覚資料の一覧が明らかになりました。除籍していることを疑問に感じたものがいくつかあります。 まず、CDとDVD。ジョージ・ウインストンは捨てるほど古くもないでしょうし、映画音楽集、効果音集、落語等は安定して需要があるはずです。DVDについては、ナショナルジオグラフィックのコレクションを丸ごと廃棄していますし、「硫黄島からの手紙」「最高の人生の見つけ方」あたり、今でも需要があるでしょう。事実、いずれも「蔦屋書店 武雄市図書館」ではレンタルをしています。有償で。ハリー・ポッターシリーズや「地球が静止する日」等、最近の映画も処分されていますが、TSUTAYAの有料レンタルと競合するから処分したのではないかと疑ってしまうところです。 雑誌については、これを除籍してしまって良かったのかと言うものがいくつも見られます。「歴史九州」「日本歴史」「短歌」「コスモス」「みを」あたりを除籍しています。「みを」は佐賀県の郷土文化誌です。「観光客を誘致」と言いながら、「温泉」「温泉博士」も除籍しています。「温泉」「温泉博士」「コスモス」「みを」は、県立にも所蔵がない資料です 。 この様な郷土資料を残さないで、「雑誌はTSUTAYAで立ち読みすれば良い」というアーカイブを放棄した施設は、図書館を名乗る資格が無い と思います。 。。。 図書館でないものを「図書館」と称して指定管理料を受け取っている ということになります。図書館は「文化を便利に消費する施設」ではありません。文化を育てる使命を担っています。この様な事業者に公共図書館を委ねることができるのか、問い直す必要を感じます。